「六人の嘘つきな大学生」
犯人は死んだ。
そこからが第二幕のスタートだった。
真実への扉が開き始める・・・。
前半は緊張感の高い密室劇が続くが、後半は一転して怒涛の伏線回収が始まるのだった。
こんにちは、ファイナンシャルプランナーのゆうです。
箸休めのつもりで読んだ本が予想以上におもしろかった。
少しずつ読み進めるつもりが、1日で読み終えてしまった。
インプットアウトプットに疲れた時。
気分転換したいとき。
そういうことだったのか!って驚きたいとき。
「六人の嘘つきな大学生」をおススメしたい。
「ここからはネタバレだよ」って、警告入れるからね。
見出しも伏字で対応しています。
あらすじ
犯人は死んだ・・はずだった。
登場人物はIT企業「スピラリンクス」の最終選考まで残った6人。
1ヶ月後のディスカッションに向けて全員内定を目指し、急速に親交を深め仲良くなる6人。
ところが、急きょ、選考方法が変更となる。
「内定者は1名。皆で適任者を選べ。」仲間だった6人は1人の内定を争うライバルに。
最終選考が始まった。
30分ごとに内定者にふさわしい人の投票を行うことに。
そんな中、発見された6通の封筒。「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。
6人はリーダー格、分析が得意、協調性があるなどそれぞれ秀でたところがあり、爽やかな若者たち。一気に緊張が走る。
犯人はいったい誰なのか?封筒の目的は?
「犯人」が死んだ時、すべての動機が明かされる――新世代の青春ミステリ!
出典:「六人の嘘つきな大学生」帯より
書いてある通り、「犯人」は死ぬ。
でもそこからが第2幕のスタートなのだ。とっておきの真相がそこにはあったのだ。
「六人全員、とんでもなクズ」とあるが、読後感は意外と爽やか。
前半は緊張感の高い密室劇が続くが、後半は一転して怒涛の伏線回収が始まる。
ページをめくる手を止められなかった。そのくらい先を知りたくて夢中になった。
前編の主人公は波多野。6人の大学生のうちの一人。
自分以外の5人を高く評価するが、発現や行動をみていると波多野自身も優秀であることが伺える。
波多野の目線で物語は始まる 。
前編の途中で8年後に当時を振り返ったインタビューが何回か差し込まれる。
このインタビューの聞き手は誰なのか。
そして、そもそもなぜインタビューしているのか。
インタビューで聞き手は何を知りたがっているのか。
え、どういうこと?の繰り返し。
なぞがたくさんでてくるが、怒涛の伏線回収が待っている。
それが伏線だったの?っていうさりげなさ。 ミスリードに見事にひっかかる自分(笑)。
そういうことだったのかー!!という伏線回収の見事さ。 さあ、あなたも挑戦してみない?
kindle本もあるよ!
〇に懺悔
「嶌に懺悔」
8年後の後編が始まった時。
スピラリンクスでの仕事について語る嶌。
「自慢げに語りやがって!こいつが波多野を犯人に仕立てた奴なのに。」って、完全に私はミスリードさせられていた(笑)。 ごめんね、嶌さん。
波多野の妹と会ったとき。
「波多野くんが犯人じゃなかったの?」っていう一言。
もうびっくりよ。 「自分が犯人だとばれた」のが怖かったのではなくて、「自分の封筒に何て書いてあったのか」を知られるのが怖かったんだね。
〇が〇〇を「〇〇」と言った理由
「嶌が波多野を「好き」といった理由」
様々な登場人物の裏と表が暴かれる中。
波多野だけは最後まで表しか見えていなかった。
聖人君子というか。いい面しか見えていなかった。
パスワードロックを解いたファイルでさえも。
誰もが思う好青年そのものだった。
しかし、最後に見つけた手紙で一変する。
一連の出来事を犯人は自分ではないあいつだとスピラリンクスにリークしようとしていた波多野。
あわよくば、もう一度選考をして欲しい。自分を選んで欲しい。
嶌の手紙も実は読んでおり、その内容も会社に伝える始末。
それを知った嶌。
嶌は嬉しかった・・という表現は適切ではないな。
なんていうか、波多野の人間臭さが分かってホッとしたのではないだろうか。
安堵したというのが正直なところでは。
月の表と裏。それが波多野にもあった。自分もみんなも波多野も一緒だった。 その人間臭さが反対に好意を抱かせたのではと。
そして、その手紙をしれっと処分する嶌。
ここに嶌の裏面が見える。悪意には悪意で対抗というか。
登場人物みんな六者六様の裏表が存在していたのだ。
〇〇の〇〇〇を◎に書き直した理由
「面接の就活生を◎に書き直した理由」
ここも波多野に抱いた感想と同じ。表裏が見えたことで評価が変わった。
最後の面接の就活生。
質疑応答何から何まで完璧なまでの女子大生。
しかし、彼女は取り繕ったスピラリンクスの回答に気づかず、素直に喜んでいた。
あ、完璧じゃなかった。むしろそれこそが人間。
そこがを消して◎にした理由では。
伏線の回収がスゴイ
最初の告発を聞いた後と、最後まで読み終わった後では登場人物に対する評価が全く変わっているのではないだろうか。そのくらい伏線がすごかった。
やっぱり「悪い人」だったと思わせての、そこには理由があって実は言うほど悪い人物ではない。というよりも「むしろいい人」という流れ。
この流れが怒涛の伏線の回収となった。すごい。
思いつく限りの伏線を羅列。
・野球部の後輩の自殺
→実は自殺した人が加害者だった。1年を酷過ぎる行き過ぎたしごきでいじめてることを知った久賀。もうするなよと、負担にならない程度の練習をさせた翌日に自殺をした。こういうのって表に出ないだけで実際にもありそうな恐怖感がある。
・優先席に座る・障害者駐車場に停める
→嶌が実は足が悪かったため、みんなの優しさからの行動。
ああ、だから久賀だっけ、車で送ってくれてたよねインタビューの後。
登場人物はモラルがない非常識な人物だと思わせる、告発文のマイナスのイメージを強めるには十分な日常の一コマ。
しかし、実は障害者の嶌を気遣っての行動。思いやりがあるだけだった。
・下戸なのにお酒勧める
→アルハラとみせかけ、実は間違って高い店を予約してしまった森久保に気を使わせない気配り。
みんなお酒を飲みたがってた体でお願いって。
だから途中で入った久賀はそれを異様な空気に感じてしまった。分かっていれば一連の犯行は行われなかったかもしれない。
・高級なエルメスのバッグ
→キャバ嬢への貢ぎ物に見せかけて、実は彼氏からの贈り物。8年後も使っている。
・嶌が後輩に対してキツクあたる理由
→相良ハルキが実の兄だった。
なるほど、後輩がファンの相良ハルキの話をすると、何かにつけてキツクあたる理由が納得だ。身内ならそうだね。何も知らないくせにっていちゃもんつけたくなるかもな。最初から最後まで「相良ハルキ」よく出るなと思っていたよ。
・倉庫から見つかったゲーム
→これは波多野が話していたやつだよね。借りパクしてしまったくらいしか思いつかないって言って、場を和ませた発言。ちゃんとこちらも回収されてる手際の良さ。
〇〇〇〇のミスリード
「ジャスミンティーのミスリード」
あれだけ連呼されれば「ジャスミンティー」がパスワードだと思うよね。
嶌よ、なぜ気づかない!?ってやきもきせられたよね。
あの手紙が2人に向けたものだったとはね。パスワード解除から最後までの流れは鳥肌もの。
思いつく限りあげてみた。
もう少しゆっくり読んだらもっと伏線出てきそう。
一気に読んじゃったからね。こういう文章ってどうやったら書けるんだろうね。ほんと面白かった。
他にもあったらコメントで教えて!