「全面改訂第3版 ほったらかし投資術」の感想。たった一本買うだけの手間いらず!みんなに配りたい良書。

「全面改訂第3版 ほったらかし投資術」の感想。たった一本買うだけの手間いらず!みんなに配りたい良書。
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こんにちは、ファイナンシャルプランナーのゆうです。

私は心配している。
「全面改訂第3版 ほったらかし投資術」。
もう第4版は出せないのではと。

だってもう完成しているからだ。
1冊でかゆいところに全部手が届いている(笑)。
余すことなく網羅している。

投資本としてはもちろん、読み物としてもかなりおもしろい。
私は識者の毒舌はゾクゾクしちゃうんです(笑)
あ、喜んでいます。

今から投資を始めたいという投資初心者には最初に読んでもらいたい1冊。
投資の道しるべとなる1冊だ。

すでに投資を始めていた自分にも発見がありおもしろかった。
特に「投資環境の変遷。」
今の投資環境については概ね理解しているつもりだが、以前のことはよく分かっていなかった。

今回は「全面改訂第3版 ほったらかし投資術」の感想をお送りする。

 

「全面改訂第3版 ほったらかし投資術」とは

2022年3月に発行。
山崎元氏、水瀬ケンイチ氏の共著だ。

 

帯を紹介。

一本買うだけ!
10年以上にわたりみなさんのお金を増やしてきたほったらかし投資の公式本がとことん簡単に生まれ変わりました。
これ一冊だけあればいい。インデックス投資の決定版!

ほったらかし投資の何がすごい?
・忙しい人にこそ最適。手間いらずで簡単!
・若者から高齢者まで、同じ方法でOK
・シンプルでローコスト
・早期リタイアも夢ではない!
・景気が悪くてもほったらかせる

出典:「全面改訂第3版 ほったらかし投資術」帯より

うん。これはウソじゃない。本当だった。
7年ぶりの改訂版。

新入社員に配って回りたい(笑)。

 

どうして一本だけと言い切れるのか。

本書を見るのが一番早いんだけれどね(笑)。
パクリにならない程度にちょっとだけ紹介。

投資信託は株の詰め合わせパックになる。
本書では「全世界型の投資信託」をオススメしている。
具体的な名称は控えておく。

「全世界型の投資信託」を1本持つだけで、世界中の株に投資することができる。
全世界型っていうと、簡単な比率でいうと
日本:先進国:新興国=1:8:1 となっている。
この比率は固定しているわけではない。

例えば今からインドがググっと発展して株価が上昇したとする。
するとインドを含む新興国の市場が大きくなる。
すると、全世界型の比率も新興国が大きくなるのだ。

何もしないでも市場の大きさに合わせて勝手に比率を変えてくれるのだ。
だからこれ1本だけ持っていればいいのだ。

私が投資を始めた2015年には、「全世界型の投資信託」は存在していなかった。
仕方なく国内株式の投資信託、先進国の投資信託など分けて買うこととなる。
するとやっぱり増え方違うから、1:1で買っていても途中からずれてきちゃうんだよね。

そのズレを戻すのをリバランスって言うんだけど、「全世界型の投資信託」だとリバランスもする必要がないのだ。

だから「ほったらかし投資」できるんだよね。

 

今の投資環境は先人たちの努力の賜物

・たった1本で全世界に投資できる投資信託。
・NISAやiDeCoなどの非課税制度。
・各企業の競争で引き下がる手数料。
・Webで完結できる投資の売買。
・一度設定してしまえば毎月定額購入が可能。

今でこそ当たり前になっているが、本書を読むことで「今の投資環境のありがたさ」をしみじみ感じることができる。

 

今の日本には、「世界中に分散投資した低コストなインデックス・ファンドを、毎月淡々と積み立てる」だけで完結する、いわゆる「インデックス投資」が、誰でも簡単に実行できる環境が整っているからです。
出典:「全面改訂第3版 ほったらかし投資術」P28 

今の投資環境が20年前からあれば・・・と、思わずにはいられない。
正直、新卒でつみたてNISAが使える若者がうらやましい。

ま、それを言ったら、堂々巡りになっちゃうからね。
今の恵まれた投資環境に感謝して、粛々と使っていければ良しとする。

こういった投資の歴史って、習うことないからすごく貴重。
今の制度や使い方、どんな商品がいいっていう書籍はあれど、歴史的背景にまで言及している書籍は少ない。知ってて損はないし、むしろおもしろい。

 

 

「積立」よりも「低コスト」を優先。

金融庁が提言しているのが「長期・積立・分散」であるが、
本書で提言しているのが「長期・分散・低コスト」である。

金融庁での「積立」が本書では「低コスト」になっているのだ。
現在お金がない人は積立で毎月コツコツと投資するしか方法がないのだが、まとまったお金がある方であれば一括投資が合理的だと言っている。必ずしも積立が必須ではないと。

Q&Aのコーナーでの「まとまったお金があった場合は一括投資した方がいい?」の質問に回答する形で載っている。(P168)

読めば納得はする。
けれど「いざ自分がまとまったお金が手に入った時に一括投資できるのか」と問われれば、「うーん」と考えてしまう。
まとまったお金があるのに投資をしなければ機会損失になる。
うん。それは分かる。賞与の30万円なら一括投資できる。
それが退職金の300万円であればどうだろう。
ちょっと怖く感じちゃうな。

実は私、退職したばかりで(笑)。
退職金はリアルにどう使おうか考えているところだからなおさら。

こういった考えは時と共に変わっていくかもな。
もし自分が1億円持っていたら、300万円の一括購入は大したことないって思うだろうし。

 

最後の特別鼎談は音声で聴きたい!

ここがすごく良かった。
金野真弓さん、山崎元氏、水瀬ケンイチ氏の鼎談。
3人で話すのを鼎談(ていだん)って言うんだって。2人だと対談。

金野真弓さんがまたすごい人で。
2008年バンガード・インベストメンツ・ジャパンでインデックスファンドの普及に長く努めてこられた方。

今でこそインデックス投資が浸透しているけれど、2008年は見向きもされなかった時代。
ここの章でも日本の投資の歴史を知ることができて楽しかった。

表に出て来ない裏情報というか、「あのとき実はああだったのだ」という裏話。
要約すると「インデックス投資がどうやって市民権を獲得したのか。」が分かる!

私が知っている投資の歴史はこのくらいだ。

金融庁が日本人に「貯蓄から投資へ」を勧めたい
→イギリスのISAを真似てNISAを作る。
→長期投資をして欲しかったのに、個別株の短期売買が多かった。
→しかも上限120万円で金持ち優遇との批判も。
→こりゃいかんと金融庁激おこ。積立での購入に限定するつみたてNISA作る。
→つみたてNISAで買える投信は”金融庁お墨付き”の長期投資に向くものだけに。
→各投資信託の会社は選んでもらえるように手数料引き下げ合戦

NISAより前の経緯は私は知らないのだ。

インデックス投資に対して熱い想いを持った方々の苦労を垣間見た感じ。
ここの章はBGMに情熱大陸の音楽流しながら鼎談している様子を聞いてみたい

きっと書籍化するために端折られたエピソードあると思うのだ。
そして、熱意や息遣いなどを感じたいのだ。思いを共有したいというのが正しいかな。
楽しかっただろうなーって思って。

水瀬さんは顔出しされていないので、音声ならいけるのでは!?という淡い期待。

そして、「インデックス投資ナイトの始まり」についても触れている。
昨年初めて参加したインデックス投資ナイト。
そのときの感想はこちらから。「インデックス投資ナイト2021」の感想!インデックス投資家たちの熱い夜がここに。

私のような新参者ははインデックス投資がどのような経緯で立ち上がったのかよく分かっていない。直近のことも教えてもらえてほんと良かった。

「山崎氏が初めて買ったETF」も個人的に興味深かった。

ボーグルヘッズの10則(P214,215)には本書のエッセンスが凝縮されている。

 

感銘を受けた言葉を抜粋

付箋紙とマーカー片手に読んだ本書。
私が感銘を受けた文章を抜粋してみる。

 

低コストなインデックス・ファンドを毎月淡々と積み立てるだけで完結する。P32

ほったらかしと言うだけあって、本当にほったらかせるのが魅力のひとつ
”毎月淡々と積み立てるだけ”とあるが、これは毎月自分がつどつど購入する必要はない。
ネット証券の積立投信設定をすれば良いのだ。
もうそれだけで、後は勝手に購入してくれる。

 

 

運用資金以外に、主に生活費に充てる予備資金をいくら確保すべきでしょうか。本書は3ヶ月~6ヶ月程度と小さめに設定しました。 P42

ここは山崎氏と水瀬氏の意見をすり合わせた結果ですね。
水瀬氏の著書では生活防衛資金を”2年分”としているからだ。

が、次のページでは「投資を小さな金額から早く始めつつ、資産の形成を目指す方針が合理的」とあるので、ある程度溜まったら少額からでも投資をしよう!と早めの資産形成をオススメしています。

これは賛成。たとえ100円や1000円でもいい。早めに投資をしたい。
結果が見えると入金力増やしたいって思うから。投資が勢いづくからだ。

私自身、今現在生活防衛資金は6ヶ月分は確保してある。
しかし、最終目標は2年分だ。投資もしつつ貯金もする。攻めながら守っているのだ。

 

お金は、「目的」ではなく、あくまでも「手段」なのです。P46

そうだよね。
お金持ちになりたいんじゃなくて、豊かに暮らすためにお金を増やしたいんだもんね。
お金は選択肢を増やしてくれる”手段”なんだよね。
改めて言われると思わず「そうだよね!」って思っちゃう。

 

もっと簡単で、大きな金額でも対応できるのは個人向け国債を持つことです。P59

銀行のペイオフを回避するための手段として個人向け国債を勧めている。
金額の上限がないことが大きい。
億を超える資産家が「安全に高額を置く場所」として個人向け国債は優れているね。

 

「全世界株100%」の運用に切り替えることによって、(中略)いわゆる「リバランス」の必要がなくなります。P65 

そっか、全世界株だけならリバランスいらないんだ!って気付かされた。
私はすでに各資産クラスの投資信託をすでに持っているから、リバランスは必須なのだ。
売っちゃうとNISA枠なくなっちゃうからもったいないし。
持ち続けることしかできない。ってことは、リバランスも必ずくっついてくる。

今から始める方は、全世界株だけ買えばリバランスフリー。
めっちゃ楽やん。

お金は、単に増やすだけではなく、有効な時に使うことが大切です。P167 

後にこう続きます。
「爪に火を灯して(FIREして!)まで投資のお金を確保しようとすることはオススメしません。」

これはインデックス投資ナイトの山崎氏の発言とリンクする。

山崎氏「早くFIREしたいがためにおカネをためる。そうすると爪に火(FIRE?)を灯すような生活で金融資産を買い込む。結果、人的資本に対する過少投資がその弊害になる。」

FIREになることを何よりも優先すると、自分への投資・自己投資が疎かになることを懸念しています。人的資本を大きくしたほうが、結果的に収入も上がりFIREへ近くなると。急がば回れだと。

出典:ブログ ゆうたんと「インデックス投資ナイト2021」の感想!インデックス投資家たちの熱い夜がここに。

安易なFIREブームへの警鐘。

バランスが大事だなと考えさせられるよね。
あれもこれもって節約するのはつまらない人生になってしまうのではって。

 

「初心者にはバランス・ファンドもお勧めです」と書いてあるような本は、たぶん著者自身が初心者並みの知識なのでしょう。P171 

山崎氏の毒舌にしびれます(笑)。
ここ、声上げて笑いました。

私もバランスファンドには違和感を覚える。

例えるなら、
「5人家族で唐揚げが20個。一人4個ずつならバランス取れているよね。」

バランスと言いながら、こういったムリヤリなバランスの取り方なんだよ。
「いやいや、2歳児とパパが4個ずつっておかしいでしょ。食べる量も体の大きさも違うし。」
って言いたくならん?
「バランス・ファンド」にも同様のツッコミを入れたい。

バランス型という枕詞にだまされてはダメ!!

この違和感を一刀両断してくれて、清々しさすら感じます(笑)。

 

 

はっきり言って、低コストのインデックス・ファンド以外はだいたい駄目です。P201 

ああ、おもしろい。この毒舌がたまらない(笑)。
ぜったい、この鼎談、書籍化できない発言があったと推測される(笑)。

個人的に気になるのは、以前のインデックス投資ナイトはお酒飲みながらやっていたんだって。
めっちゃおもしろそうやん。
なんで、私はもっと前から知らなかったのだ。悔やまれる。

 

最後に

気づいたら感想が5000文字超える大作になってしまっていた(笑)。
投資って特別なことじゃなくて、自分たちでもできるんだってことを知ってほしい。
みんなで豊かになりたい。
今の投資環境を作ってくれた先人たちに感謝。
そして、1冊にまとめてくださった山崎元氏、水瀬ケンイチ氏にも感謝。

 

 

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